- 【御朱印帳】土佐手漉和紙「朝光」 小判 38ページ 楮紙 白米×淡黄蘗
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熊本県人吉市にある「青井阿蘇神社」は、人吉球磨地方の開拓の神々を祀る古社です。およそ400年前に造営された社殿群が「国宝」に指定されていることが記される、歴史の重みを間近に感じられる伝統的なデザインの御朱印をいただくことができます。
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熊本県人吉市、球磨川(くまがわ)のほとりに佇む「青井阿蘇神社(あおいあそじんじゃ)」は、平安時代初期の大同元年(806年)に創建されたと伝わる歴史ある神社です。地元の人々からは「あおいさん」の名で親しまれています。
御祭神は、初代天皇として知られる神武天皇(じんむてんのう)の孫にあたる阿蘇開拓の神・健磐龍命(たけいわたつのみこと)、その妃・阿蘇津媛命(あそつひめのみこと)、そして二人の御子である國造速甕玉命(くにのみやつこはやみかたまのみこと)です。
これらの神々は、阿蘇山(あそさん)のふもとに鎮座する阿蘇神社(あそじんじゃ)に祀られている十二柱のうち、この地に勧進された三柱です。人吉球磨の人びとは、開拓を見守る阿蘇の神々をまつり、その加護に感謝しながら田畑をひらき、安心して暮らせる土地を整えていったと考えられています。
※阿蘇神社に関して、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
【御朱印情報】熊本県「阿蘇神社」の神話と楼門再生の歴史を刻む「肥後国一之宮」の御朱印

この地は、中世以来、人吉を700年にわたり治めた相良(さがら)氏の拠点のすぐ近くにあり、青井阿蘇神社は相良氏にあつく信仰されてきました。現在の社殿群は、江戸時代初期の慶長15年(1610年)頃に、相良家第20代当主・相良長毎(さがらながつね)の寄進によって造営されました。
また、青井阿蘇神社は地域の歴史と深く結びつき、人吉球磨の文化的な支柱としての役割を担ってきました。度重なる球磨川の氾濫や、令和2年(2020年)の豪雨災害を乗り越え、地域の復興を見守り続けてきた「地域の絆」を象徴する存在でもあります。
青井阿蘇神社の御朱印は、「国宝」「青井阿蘇神社」「参拝年月日」の墨書きに、「参社青井阿蘇神社」の朱印がおされる伝統的でシンプルなデザインです。授与所で御朱印帳に直書きしていただき、初穂料は500円でした。

この御朱印に「国宝」の文字が書かれる背景には、社殿群が持つ歴史があります。
青井阿蘇神社は、創建以来、人吉球磨地方の総鎮守として、人々の信仰をあつめてきました。その歴史的地位と建築の価値は、地域文化の中心的な存在といえます。
装飾性の高い極彩色の彫刻が施されている茅葺(かやぶき)屋根の社殿群は、中世の球磨地方で育まれた独自性の強い意匠を受け継ぎながら、桃山期の華やかなデザイン「桃山様式」も巧みに取り入れています。完成度が高く、近世の球磨地方における社寺建築の手本となったほか、その彫刻技法や特徴的な拝殿の形式は、南九州一帯にも影響を与えました。こうした点が高く評価され、平成20年(2008年)に国宝に指定されています。

楼門屋根の四隅の軒下には、陰陽一対・阿吽の表情をした神面が計八つ取り付けられています。このような場所に神面があるのは全国的にも珍しく、昭和19年(1944年)の調査にあたった京城大学の教授が「人吉様式」と名づけました。神面は、人の心の荒々しさをあらわす荒魂(あらみたま)と、おだやかさをあらわす和魂(にぎみたま)、さらには喜怒哀楽の感情を通して、調和と循環の世界観を表現しているといわれます。

すべての社殿は、黒を基調とした漆塗りで、細部の木組みには赤漆、彫刻や模様には鮮やかな極彩色が用いられ、各所に装飾が施されています。

また、急勾配で分厚い茅葺き屋根も大きな特徴です。青井阿蘇神社をはじめ、人吉球磨地方にはこのような歴史的建築物が数多く残されています。
黒塗りの静謐な社殿と、緻密な彫刻が織りなす荘厳な空間を体感した後、直書きでいただいた御朱印は、歴史の重みと、地域の誇りである国宝の価値を改めて胸に刻む特別な記念となりました。

青井阿蘇神社は、祭事においても地域文化の中心であり続けています。年間を通じて執り行われる様々な行事のなかでも、毎年10月に行われる「おくんち祭」は、地域最大の盛り上がりを見せます。
おくんち祭は、古くからめでたいとされてきた重陽の日に神様が鎮座されたことを祝うお祭りで、地域独特の神事や神楽とともに、神輿や獅子などが市内を練り歩く賑やかな神幸式が中心となっています。昔は庶民の境内への立ち入りが許されず、楼門前にある蓮池の周りだけを巡る静かな神事だったそうです。大正時代から昭和時代にかけて市街地の繁栄を願う人々の声を受けて現在の形になりました。当時、行列の沿道は身動きがとれないほどの人出で、お旅所にはサーカスや見せ物小屋が並ぶほど賑わったと伝わっています。
また、近年は人気アニメ作品「夏目友人帳」の舞台モデルとして、作者・緑川ゆきの故郷である人吉球磨地方の風景が注目されています。青井阿蘇神社も夏目友人帳と熊本県のコラボ動画に登場したことから、ファンが訪れる「聖地巡礼」スポットの一つとなりました。

伝統的な文化財としての格式と、現代的な魅力の調和は、青井阿蘇神社の持つ多彩な特徴のひとつです。参拝とあわせて、アニメ・コラボ動画に登場した風景を探す体験も楽しんでみてはいかがでしょうか。
青井阿蘇神社は、人吉球磨地方の深い歴史に抱かれた古社です。地域の総鎮守として人々の暮らしを見守ってきたこの神社の静かな佇まいは、訪れる人々の心を落ち着かせます。また、例大祭「おくんち祭」やアニメの舞台としての側面は、伝統と現代の文化が交差する青井阿蘇神社の多面的な魅力を示しています。参拝の折には、「国宝」と記される御朱印をいただき、心静かに歴史の重みを感じるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
ライター:nakamuraya
旅好きな観光ガイド・WEBライター。書くことと話すこと、両方の言葉の力で、日本の魅力を国内外の人々に伝える活動をしています。初めての一人旅で京都を訪れて以来、神社仏閣に興味を持ち、御朱印の奥深さにも惹かれました。日本の歴史や文化に深く関心を抱き、伝統や美しさを巡る旅を楽しんでいます。
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