【御朱印情報】広島県「安芸の宮島(厳島)」でいただける御朱印4選
広島県「安芸の宮島(厳島)」は古くから信仰の対象として崇められ、島内にはユネスコ世界文化遺産に登録されている「厳島神社」をはじめ、複数の寺社があります。4ヶ所の寺社(厳島神社、大聖院、大願寺、豊国神社)の概要といただける御朱印の情報を厳選してご紹介します。
オーダーメイド納経帳・御朱印帳「千年帳」のメイン素材である「土佐手漉和紙」は「流し漉き」の手法によって製造されています。1000年以上の歴史をもつ高知県の製紙産業に脈々と受け継がれ、絶えず新技術も開発されてきました。
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製紙技術が日本に伝わったのは5~6世紀頃といわれています。仏教の伝来により写経が盛んになり、製紙技術も発達していったようです。平安時代初期の宮廷には「紙屋院(しおくいん・かんやいん)」という紙を調達する部署と製紙工場が存在していたことが記録に残っています。
1000年以上の歴史があり日本で独自に発達していった紙をいわゆる「和紙(わし)」と呼びます。現代の和紙製造の手法は、大きく分別すると「機械漉き(きかいずき)」と「手漉き(てすき)」にわかれ、手漉きの中でも大きくわけると「溜め漉き(ためずき)」と「流し漉き(ながしずき)」の2種類があります。
古代中国から伝わったのは溜め漉きの手法で、流し漉きは日本で独自に発達していった手法とされています。
溜め漉きは、木の枠に竹ひごを糸で編んだ簀(す)を挟んだ簀桁(すけた)に、ほぐした繊維の短い紙料をすくい入れて溜め、簀桁を水平にして細かく揺り動かし繊維を絡め、水を下に落として層を作ります。機械漉きにもこの手法が使われています。
流し漉きは、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)などの植物の皮の部分に含まれる靭皮(じんぴ)という繊維に、トロロアオイやノリウツギから採ったネリ(植物性の粘液)を加えた紙液が原料になります。ネリの発見とともに流し漉きの手法が、奈良時代から平安時代初期に生まれたと伝わっています。簀桁に攪拌した紙液を汲み上げ、前後左右に揺り動かしつつ何回も液を汲み込み、最後に水を捨てて漉き上げます。
溜め漉きに比べて流し漉きは、長い繊維が絡み合いやすく、捨て水により繊維の流れも均等に揃い、簀から外しやすく、1枚1枚剥がして乾燥させることができます。また、簀を早く上げれば薄い紙が、ゆっくり上げれば厚い紙ができます。
流し漉きは、いろいろな種類の紙をつくりやすい利点がある手法ですが、リズミカルに紙液をすくい上げ、液量を調整し、均等に繊維をそろえるように揺するなど、技量が求められます。
オーダーメイド納経帳・御朱印帳「千年帳」に採用しているのは、高知県で長い製造の歴史をもつ「土佐和紙(とさわし)」の中でも、伝統技術を受け継ぐ職人によるハンドメイドの「土佐手漉和紙(とさてすきわし)」です。
土佐手漉和紙は、高知県の地元で栽培している楮(こうぞ)が主な原料で、原料となる他の植物に比べて繊維が長くて大きいのが特徴です。その繊維をしっかりと絡め、均等になるように、できるだけ水を激しく大胆に流す流し漉きの技法により、薄く、美しく、かつ丈夫さを持つ紙が昔から製造されてきました。
楮のような長い繊維の原料で紙を作る場合に特に重要になってくるのがネリです。紙を漉く際には繊維を分散する必要があり、藁や竹のような植物を原料に使用する場合は、繊維を短く切るので分散させることはそれほど難しくないのですが、楮は特性を活かすために長い繊維のまま使用しますので、粘性物質が含まれた紙液で漉くと、繊維がきれいに分散して、地合い(じあい。紙の繊維の分散の具合をいい、全体に均整なものがよい地合いとされる)がよくなったり、紙面が平滑になる効果があります。
良質な書写材料としての紙が求められるようになり、ネリの発見により、漉き方も研究され伝承されていく中で流し漉きの技法が発達し、書きにくかったのが書きやすくなった、破れにくくなった、という効果が現れ、土佐和紙の特徴になっていったと思われます。
※土佐手漉和紙の原料や製造工程に関しては、以下リンクの記事で詳しくご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください。
流し漉きの手法も地域によって違いがあり、日本の東の方の産地よりも西の方の産地の方が、水をバシャバシャさせることが多いようです。原料となる楮が、関東で栽培される那須楮などに比べて、関西の特に高知県の楮は繊維が長く、漉く際に繊維が分散しにくく、紙液を大きく動かし、水を大量に流すことによって、繊維を分散させる手法が広まっていったのだと考えられます。
また、明治時代以降は、市場での流通量が急増していき、求められる紙のサイズも大きくなったことで、手早く漉くことが重視され、簀桁のサイズが大きくなったことも、漉き方がどんどん激しくなっていった要因かもしれません。
このような土佐ならではの流し漉きの手法に必要不可欠なのが「水」です。
大量の水が必要になることはもとより、質も非常に重要で、紙漉きにはきれいな軟水が適しているとされています。カルシウムやマグネシウムなどの鉱物成分が少ない軟水を使用することにより、ネリの効き具合がよくなり繊維が分散しやすくなったり、汚れが落ちやすく、紙がきれいに白くなりやすいという利点があります。
千年帳で採用している土佐手漉和紙を漉く際には、清流として名高く水量も豊富な「仁淀川(によどがわ)」の伏流水を使用していて、紙は工業製品ではありますが、地元で栽培している植物原料を含め、土佐の良好な環境の恵みをうまく活用したサスティナブルな製品であるともいえます。
一口に土佐和紙といっても、産地全体ではいろいろな種類の紙が製造されていて、漉く紙の種類によって流し漉きの中でも様々な技法を駆使しています。
例えば「土佐典具帖紙(てんぐじょうし)」と呼ばれる極薄の透けるような紙がありますが、非常に薄く破れやすいため、繊維がなるべく一方方向にならないように、縦横だけではなく、簀の上を水がぐるぐる回るような漉き方で、全体が絡みやすいような繊維の流れを作って強度を増す工夫をしています。
逆に障子紙のような厚みの紙の場合には、縦横を同じような感じで流すと、どうしても縦方向から横方向に流れを変えた際、繊維がまっすぐに伸びない状態が一瞬できてしまい、見栄えがよくないので、上下一方方向に流すような漉き方をあえてしたりすることもあります。
版画用紙など、厚くて見た目の面白さを表現したいような紙を作るときは、紙液をあえて流しすぎず溜め漉きに近いような技法をつかって、繊維がランダムにあちこちに走るようにすることもできます。
一般の人が紙漉き体験でよく作るはがきや卒業証書などの用途だと、流し漉きの手法を使う場合も、あまり大きく動かしすぎない方が上手に仕上がったりします。
千年帳の現状の本紙も、楮を主原料にした紙と三椏を主原料にした紙の2種類がありますが、楮より繊維が短い三椏紙を作るときは、ネリを効かせて繊維をよりきれいに分散させて、強度を高めるために横方向に流す作業を意識したりと、原料の特性とどのような紙に仕上げるかによって、漉き方を微妙に調整し工夫もしています。
和紙産業の縮小や機械漉きの発達により、手漉和紙職人が少なくなり、手漉和紙の生産量も減少していますが、伝統的な手漉和紙でしか実現できない品質や意匠性は存在し、伝統的な技術を受け継ぎ、その技術をさらに向上するべく努力している職人が高知県にはいます。
土佐手漉和紙の良さを手にとって感じていただくべく千年帳に採用し、今後も品質の向上や新しい付加価値を創造するべく努力していきますので、和紙の歴史や職人の技術にご注目いただければ幸いです。
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