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【御朱印情報】静岡県「來宮神社」の「日本三大大楠」にまつわる信仰の形が表わされた御朱印

静岡県熱海市にある「來宮神社」は、来福・縁起の神として親しまれてきた古社です。珍しい木製の台紙の御朱印には、「日本三大大楠」のひとつに数えられる御神木の信仰の形と、健康長寿・心願成就の祈りが凝縮されています。

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「来福・縁起」の木の神を祀る「來宮神社」

静岡県熱海市、日本屈指の温泉リゾート地と知られる熱海の山の手にある「來宮神社(きのみやじんじゃ)」は、古くは「來宮大明神(きのみやだいみょうじん)」と称し、熱海郷の地主神として信仰されてきた神社です。

 

來宮神社の創建には、奈良時代が始まった和銅3年(710年)に起こった出来事の伝承が残されています。
熱海湾で網に木の根が掛かることが3度重なり、不思議に思った漁師があらためると神像のようであったので、近くの松の下に祀って、持っていた麦こがしを供えました。その夜の夢に木の神である五十猛命(いそたけるのみこと)が現れ、潮騒が耳障りであるとの神託があり、現在の來宮神社がある場所に遷祀しました。木の根を御神体としたことから「木の宮」と称しました。

 

また、平安時代初期には征夷大将軍・坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が戦勝を祈願し、各地に御分霊を祀ったとも伝わっています。神奈川県西部から静岡県伊豆半島にかけての相模灘沿岸部を中心に全国には樹木神や漂着神を祀る神社が点在し、漢字表記は様々であるものの「キノミヤ」と名の付く神社が多く、來宮神社はそれらの神社の総社としても広範囲から信仰をあつめています。

 

現代においては、熱海の地を守る神であると同時に、「来福・縁起」の神として親しまれ、伊豆半島を訪れるたくさんの旅人が参拝に訪れています。「きのみや」を「忌の宮」と解し、禁酒など断ち物の祈願をする参拝者も多いそうです。

來宮神社_鳥居
來宮神社は、いつも観光客で賑わう熱海市街地近くの立地でありながら、境内は木々に包まれ、古くから祈りの場として守られてきた静謐な空間でした。
來宮神社_社殿
來宮神社は、熱海を訪れる観光客にも人気のスポットになっていて、社殿の前には参拝者の列ができていました。

 

 

木製の台紙の「日本三大大楠」にまつわる信仰の形が表わされた御朱印

私が來宮神社を参拝した際にいただいた御朱印は、珍しい木製の台紙のものでした。
中央に「来宮神社」、右に「熱海」、左に「参拝日付」が記され、中央に「社印」「日本三大大楠 天然記念物」の朱印がおされ、切り抜きで左上には「葉」、左下には「ハート形の意匠」が描かれているデザインでした。

來宮神社_御朱印
來宮神社が「木」にまつわる神社であることがわかりやすく伝わる御朱印です。

 

「日本三大大楠 天然記念物」とは、來宮神社の境内にある大楠のことを示しています。
樹齢は2,000年を超えるともいわれる御神木で、幹周りは約24mに及び、平成4年(1992年)度の環境省の調査では全国2位の巨樹として認定されています。
日本三大大楠とは、來宮神社の大楠と並び、鹿児島県姶良市の蒲生八幡神社(かもうはちまんじんじゃ)にある「蒲生の大クス」、佐賀県武雄市の武雄神社(たけおじんじゃ)近くにある「武雄の大楠」が挙げられます。蒲生の大クスは日本一の巨樹として知られ、武雄の大楠も樹齢3,000年以上と考えられている巨木です。これらと並び称されることからも、來宮神社の大楠が全国的にも特別な巨樹として認知され、信仰上も重要な役目を果たしていることがわかります。
來宮神社の大楠は、文化財としては「阿豆佐和気神社(あずさわけじんじゃ)の大クス」の名称で、昭和8年(1933年)2月28日に国の天然記念物に指定されています。阿豆佐和気神社という名は指定当時の神社名です。国の天然記念物に指定された背景には、名木・巨樹・老樹としての価値が大いにあり、長い年月を生き続けてきた樹木そのものが、文化財として守るべき存在と見なされたことがうかがえます。

 

大楠は、來宮神社の信仰とも深く結びついています。
御祭神の五十猛命は、樹木と自然保護に所縁が深い神とされ、創建伝承には楠の洞に祀るよう告げたとあり、大楠が御祭神と同一化して考えられています。大楠の幹の周りを1周すると寿命が1年延びる、願いを心に秘めながら1周すると願いがまとまるともいわれていて、來宮神社では社殿のみならず、大楠にも参拝する人が多く見られます。

來宮神社_大楠
來宮神社の大楠は、境内で圧倒的な生命力を放っています。

 

木の台紙に切り抜きで描かれているのは、楠の楕円形の葉と、その葉をハート形に象った意匠です。ハート形は「猪目(いのめ)」と呼ばれる日本古来の文様で、魔除けや招福、良縁成就を象徴する縁起の良い意匠だとされています。
來宮神社では、楠から葉が落ち新芽が吹く3~5月頃に神職さんや巫女さんが落ち葉をハート形に掃き集める取り組みを行っています。来福・良縁のご利益を求める参拝者に人気になっていて、このことが御朱印にも刻まれています。

來宮神社_落ち葉猪目
來宮神社で落ち葉で作られた猪目に出会えれば、来福良縁のご利益がより一層高まることでしょう。

 

來宮神社の御朱印には、御神木の大楠にまつわる伝承や大きな御神徳が凝縮しているといえます。

 

 

 

 

熱海を訪れる人たちの憩いの場

來宮神社では、毎年7月に例大祭が行われ、「こがし祭」と呼ばれて親しまれています。御祭神の好物とされる麦こがしにちなんだ祭りで、地域で大切に受け継がれてきました。熱海は華やかな観光地として認知されていますが、來宮神社は地域の人々の暮らしにも密接に結びついることが大きな魅力でもあります。

 

境内には、参拝者が休憩できる茶寮や、自然を感じながら過ごせる空間も整えられています。ゆっくり境内を散策すれば、熱海の旅の途中でほっと心を落ち着かせることができると思います。
夜には境内のライトアップも行われていて、昼間とは違った雰囲気を楽しむことができます。木々に囲まれた神域がやわらかな光に包まれることで、來宮神社が持つ自然と祈りの世界がより幻想的に感じられることでしょう。

來宮神社_ライトアップ
來宮神社は、夜間に訪れるのもおすすめです。

 

 

來宮神社は、御神木・大楠を中心にした古来からの地域信仰の拠点の役割を果たしてきた神社です。木製の台紙の珍しい御朱印には、大楠の強大な御神徳と来福・縁起のご利益が詰まっています。熱海を訪れる観光客にも人気のスポットになっていますので、大楠に包まれた聖域の雰囲気を体感しにぜひ訪れてみてください。

 

 

 

 

ライター:いやさかあつ丸
全国の神社や寺院を訪ね歩き、御朱印に込められた歴史や信仰の背景を発信している寺社巡り愛好家です。実際に現地を参拝して感じた空気感や由緒、見どころを丁寧に掘り下げ、初めて訪れる人にも魅力が伝わる記事づくりを心がけています。

 

 

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