
- 【御朱印帳】土佐手漉和紙「朝光」 小判 38ページ 楮紙 白米×淡黄蘗
- ¥11,880
大阪府大阪市にある「阿倍王子神社」は、平安時代に流行した「熊野詣」とゆかりが深い神社です。熊野詣の途中に休憩や遥拝などを行うための社「九十九王子」のうち第二王子社であった歴史が記される御朱印をいただくことができます。
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大阪府大阪市阿倍野区にある「阿倍王子神社(あべおうじじんじゃ)」は、仁徳天皇(にんとくてんのう)によって創建されたと伝わる歴史ある神社です。
阿倍王子神社の縁起絵巻「摂州東成郡阿倍権現縁記」によると、仁徳天皇の夢に熊野三山の神使である三本足のカラス「八咫烏(やたがらす)」が現れたので探したところ、見つかった阿倍野の地に神社を創建して祀ったのが始まりであると記されています。別の説では、古代の豪族である阿倍氏が難波長柄豊碕宮(なにわのながらのとよさきのみや)への遷都にともなって阿倍野へ移り住んだとき、氏寺として創建した「阿倍寺(あべでら)」とともに氏神として建立した「阿倍社(あべのやしろ)」が元となっているともいわれています。
創建当時は「阿倍寺千軒坊」といわれるほど栄えていましたが、都が別の場所に移ると阿倍氏も阿倍野から去ったため勢力が衰え、後に四天王寺(してんのうじ)に併合されました。
平安時代初期の天長3年(826年)には弘法大師空海(こうぼうだいしくうかい)が淳和天皇(じゅんなてんのう)の勅命によって参詣し、かろうじて残っていた阿倍社が再興されています。そのとき疫病退散の祈祷をしたため、疫病を治癒する寺という意味の「痾免寺(あめんでら)」の勅額を賜っています。
平安時代には熊野信仰が盛んになり、熊野三山に参詣する「熊野詣(くまのもうで)」が流行しました。
阿倍野は四天王寺と住吉大社のほぼ中間に位置し、熊野詣のルートである「熊野街道」上にあることから熊野大神を勧請して王子社となり、「阿倍王子」となりました。阿倍王子神社の鳥居の前の道が熊野街道で、この道は日本書紀にも「荒陵松林之南道(こうりょうしょうりんのなんどう)」と記述のあるとても古い街道です。この荒陵とは天王寺にある茶臼山古墳を指すといわれ、誰の陵墓かもわからないほど古いものですが、四天王寺の山号が「荒陵山(こうりょうざん)」となるほど地域になじみのあるものです。
御祭神は伊邪那岐命(イザナギノミコト)、伊邪那美命(イザナミノミコト)、速素戔嗚尊(ハヤスサノオノミコト)、応神天皇(おうじんてんのう)の4柱です。伊邪那岐命、伊邪那美命、速素戔嗚尊は熊野に祀られる神々、応神天皇は明治時代に合祀された男山八幡宮の御祭神です。
境内には春夏冬社(あきないしゃ)、葛之葉稲荷神社、水神社などさまざまな摂社末社があり、神社の縁起にも出て来る八咫烏を祀った御烏社(みからすしゃ)もあります。
阿倍王子神社では朱印と墨書きのみの伝統的な御朱印がいただけます。
印は「熊野第二王子旧跡」、「阿倍王子神社」、墨書きは「熊野権現第二王子社」、「阿倍王子神社」、参拝した日付けです。
御朱印に記載されている「熊野権現第二王子社」とは、熊野詣の途中に休憩や遥拝などを行うための社「九十九王子(くじゅうくおうじ)」のうち、二番目の王子社という意味です。
藤原定家の日記「名月記(みょうげつき)」の「後鳥羽院熊野行幸記」では、阿倍王子神社は4番目の王子社として記述されていますが、戦国時代の数々の戦乱によって途中の王子社がなくなったため、江戸時代には第二王子と呼ばれるようになりました。
なくなったのは当初の第二王子である「坂口王子」と第三王子である「郡戸(こうと)王子」で、第一王子である窪津王子は四天王寺の西門近くに熊野神社として祀られ、大正時代に堀越神社の摂社「熊野第一王子社」として遷座しています。
※堀越神社に関して、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
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王子社は50坪から100坪程度の小規模なお宮が多かったため、明治時代の神社を統廃合するための政策「神道合祀令」によってほとんどが明治40年(1907年)に近隣の神社に合祀されることになりました。しかし、阿倍野王子は阿倍野村の氏神だったため合祀されることはなく、大阪府内に置かれた王子社では唯一、当時のままの場所に現存しています。
阿倍王子神社の近くには陰陽師で有名な安倍晴明を祀る「安倍晴明神社(あべのせいめいじんじゃ)」があります。安倍晴明神社は阿倍王子神社の境外摂社で、御朱印は阿倍王子神社の社務所でいただけます。
安倍晴明神社では直書きの御朱印のほか、夏祭りや七夕などに書き置きの特別御朱印が頒布される場合があります。特別御朱印については阿倍王子神社の公式インスタグラムで情報発信されているので、参拝前にチェックするのがおすすめですよ。
※安倍晴明神社に関して、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。
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阿倍王子神社は、大阪府内で唯一現存する王子社で、熊野詣にゆかりがある伝統的な御朱印をいただくことができます。すぐ近くにある安倍晴明神社の御朱印も阿倍王子神社の社務所でいただくことができますので、あわせて参拝して、平安時代に流行した熊野詣や、活躍した陰陽師・安倍晴明の歴史に触れてみてください。
ライター:kanakana
神社仏閣・御朱印ブロガー。徳島県を中心に四国や淡路島で神社仏閣巡りを楽しむ御朱印ガールで、年間300体以上の御朱印を拝受しています。御朱印を通じて神社仏閣の魅力をご紹介します。
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