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オーダーメイド納経帳・御朱印帳「千年帳」

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和装本の「袋綴じ」の製本手法について

オーダーメイド納経帳・御朱印帳「千年帳」は、古来の和装本の製本手法である「袋綴じ」によって製本しています。軽くしなやかに仕上げることができるので壊れにくく、持ち運びや開閉の機会が多い納経帳・御朱印帳に適しています。

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和装本の歴史

日本に製紙技術が伝わったのは5~6世紀頃といわれています。その後、いろいろな工夫で技術が発達し、書写に使われるしなやかで薄く、丈夫な和紙が生まれました。奈良の正倉院に保管されている戸籍用紙が、現代の日本にのこる最も古い紙だとされ、702年に製造されたものだそうです。
それ以前の時代は、短冊状の木や竹に文字を書き、糸でつないで保管する方法が主だったようです。

 

日本の伝統的な製本方法で装丁された本を「和装本(わそうぼん)」とか「和本(わほん)」と呼びます。和装本を大きく分類すると、本紙をまとめる際に、糊を使ってまとめたものと糸で綴じたものにわかれます。

 

糊を使ったものには、横に長く紙を継ぎ、軸と表紙をつけた「巻子本(かんすぼん)」があります。いわゆる巻物です。書物の最も古い装丁スタイルで、保管に場所を取りませんが、読みたい箇所を探すことや巻き戻すのが大変でした。
その難点を解決したのが、巻子本の軸を外し一定の幅で折りたたみ、表紙と裏表紙をつけた「折本(ほりほん)」です。仏教の広まりにより、経本などでよく使われるようになりました。
折本の初期の形態で、表紙と裏表紙を一枚の紙や布に貼り付け、本紙を包むような「旋風葉(せんぷうよう)」がありましたが、折り目部分がすり切れて破れる欠点があり、それを克服する冊子形態に発展していきます。
本紙を内側に向けた二つ折りにし、折り目側1㎝ほどに糊をつけて貼り合わせ、表紙をつけた冊子形態が「粘葉装(でっちょうそう)」です。糸でかがらないスタイルが日本の特長で、唐(現在の中国)では中綴じされ「胡蝶装(こちょうそう)」と呼ばれています。
空海が唐から持ち帰ったとされる「三十帖冊子(さんじゅうじょうさっし)」が粘葉装スタイルの日本に現存する最古の冊子で、これが和装本の起源とされています。

 

平安時代には、こよりで本紙を中綴じし、表紙をつける装丁「大和綴じ(やまととじ)」に発展していきます。糊を使わずに綴じて糸でかがり、表紙の2ヶ所を糸で結ぶスタイルです。
中国の宗から明の時代に使われ、日本には室町時代に伝わったとされる「袋綴じ(ふくろとじ)」は、本紙面が外側になるように二つ折りにする形態で「明朝綴じ(みんちょうとじ)」とも呼ばれます。糸綴じを施す袋綴じの製本手法が和装本の定番となり、明治時代までの主流でした。

 

 

袋綴じの特徴・利点

明治時代以降は、欧米から入ってきた洋書の影響を受け、日本の本も硬質で厚めの表装が広まりました。綴じ方も接着剤やホッチキス留めなども出てきました。製本手法が進化したようにも見えますが、厚い、硬い、重い、一見頑丈そうに作られたものほど実は壊れやすかったり、復元が難しいという側面があります。ただし、大量製造が必要な場合の製本の効率性は和装本よりも優れていますので、工業製品としての経済性が考慮され、現代では洋書方式の製本手法が主流になっています。

 

オーダーメイド納経帳・御朱印帳「千年帳」の製本においては、明治時代までの主流であった和装本の中でも袋綴じの手法をあえて採用しています。和紙のこよりで本紙を中綴じし、背にあたる部分の天地に角裂(かどぎれ)を当て、表紙・裏表紙・本紙を綴糸(とじいと)を使った「四つ目綴じ」で仕上げる、袋綴じの中でももっともベーシックでシンプルな製本手法です。
すべて手作業で、製本の手間が増え、製造コスト増の要因にはなりますが、伝統的な手法で製造した最高品質の土佐手漉和紙を、長い間大切に使っていただく納経帳・御朱印帳に製本するには、袋綴じの手法がふさわしいと考えました。

和装本_製本
千年帳は古来の袋綴じの手法を受け継ぐ職人が製本しています。

 

袋綴じを採用した理由はいくつかありますが、もっとも重要なのはその機能性の高さです。
袋綴じで製本した和装本は、表紙が柔らかく、しなやかで軽い本に仕上げることができ、壊れにくいので、神社仏閣巡りで持ち歩く機会が多く、頻繁に大きく開いたりする納経帳・御朱印帳の用途にその特性が活きてきます。
また、本紙をこよりでしっかりと中綴じしているので、仮に表紙を綴じている綴糸が切れるなどしても、本紙はバラバラにならずに保存性も優れています。昔の本の和紙のこよりは、中が空洞になっていて、穴に通して軽くたたくと紙の摩擦でしっかりとまり、結ばなくてもとまるほどなので「紙くぎ」と呼ばれることもあります。本に余計な負荷をかけずに強度を担保する、昔の人の知恵と工夫の賜物です。

袋綴じ_こより中綴じ
袋綴じはこよりで中綴じするのが機能的にも重要なポイントです。

 

上記の特性に関連して、可逆性があるのも和装本・袋綴じの特徴です。可逆性とは、解体して再び仕立て直すことができる、元の状態を取り戻せるところいうことで、この点においては最高峰の製本方法とされています。
例えば、表紙が破れたり、すり減ったりしても、糸をちょっとだけ切れば直せて、また、何回でもやり直しがききます。もし、ボンドなどの接着剤を使った製本であれば、もうやり直しはききません。

 

袋綴じで製本された昔の本が博物館などに保存されていることがありますが、保存状況や使用状況などの事情により、破損・劣化していたとしても、修復することにより、元に近い状態にすることができ、閲覧や展示も長期的に可能になります。正倉院に今から1000年以上前に製本された和装本が今なお残っている歴史が、その保存性の高さを証明しています。

 

最近は神社仏閣で御朱印をいただくことが一般的になってきて、いろいろな納経帳・御朱印帳を目にするようになりました。その中には、和綴本・袋綴じに見えるようなものもありますが、接着剤が使われていたり、表紙に芯が入っていて硬かったり、派手に装飾するために穴がたくさんあいていたりと、古来の製本手法とは異なり、機能性に劣るものが少なくありません。
千年帳は、先人が長く受け継ぎ改良を重ねてきた袋綴じの手法にこだわり、長い期間ご愛用いただくことを第一に考えています。

 

 

オーダーメイド納経帳・御朱印帳「千年帳」の袋綴じの製本手法を通じて、日本の伝統や先人の知恵にぜひ触れてみてください。

 

※オーダーメイド納経帳・御朱印帳「千年帳」の製本の手法とこだわりに関して、以下リンクの記事に続きますので、こちらもぜひご覧ください。

 

千年帳の製本手法「袋綴じ」とこだわり

 

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