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【御朱印情報】熊本県「別所琴平神社」の季節感あふれる多種多彩なイラスト付き御朱印

熊本県熊本市中央区にある「別所琴平神社」は、古くから「別所のこんぴらさん」の名で地域の人々に親しまれ、熊本三社参りの1社として崇敬をあつめてきた神社です。最近では、参拝日や季節に合わせて絵柄が変わる多種多彩なイラスト付き御朱印が注目をされています。

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「別所のこんぴらさん」の名で親しまれてきた「別所琴平神社」

熊本県熊本市中央区、熊本市中心市街地を東西に貫く大通り沿いにある「別所琴平神社(べっしょことひらじんじゃ)」は、地元の人々から「別所のこんぴらさん」の名で親しまれてきた神社です。特に「毎月10日にお参りすると特別なご利益がある」と昔から信じられて、今も多くの人が参拝に訪れています。

 

社伝によると、鎌倉時代に創建された寺院「瑞応山善光寺(ずいおうざんぜんこうじ)」を守る神様として、江戸時代中期に「金比羅大権現(こんぴらだいごんげん)」を祀ったことが、別所琴平神社の始まりとされています。金毘羅大権現とは、神仏習合の時代に「こんぴらさん」として広まった信仰上の神で、もともと大物主大神(おおものぬしのおおかみ)を祀っていた讃岐國(さぬきのくに、現在の香川県)の金刀比羅宮(ことひらぐう)を中心に崇敬をあつめてきた存在です。
大物主大神は、国造りの神様として知られる「大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)」の幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)とされ、海上安全をはじめ、暮らし全般の守り神として信仰されてきました。幸魂は日々の暮らしの安寧や幸福をつかさどる御霊、奇魂は心や精神の世界に関わる御霊といわれます。
※金刀比羅宮に関して、以下リンクの記事で紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。

 

【御朱印情報】香川県「金刀比羅宮(こんぴらさん)」の本宮と奥社で授与されるアート御朱印

 

別所琴平神社には、熊本藩主・細川家とのゆかりも伝わっています。熊本藩第8代藩主・細川斎茲(ほそかわなりしげ)が神社の西方に居を構えていた頃、病気平癒を祈願し、快復後その御礼として社殿を西向きに造営し奉納しました。

別所琴平神社_鳥居
境内南側の大通りに面した鮮やかな朱塗りの鳥居をくぐって北向きの参道を突き当たった右手に西向きの社殿があります。
別所琴平神社_社殿
拝殿の中央には「金刀比羅神社」、その奥に「琴平神社」の扁額が掲げられていました。

 

九州地方や中国地方など西日本の一部の地域に根付いている、地域の有力な3つの神社に詣でる「三社参り」という風習があります。熊本市内の三社参りといえば、加藤神社(かとうじんじゃ)、高橋稲荷神社(たかはしいなりじんじゃ)、別所琴平神社の3社があげられ、古くから「一に清正公、二に高橋稲荷、三が別所のこんぴらさん」とうたわれてきました。
加藤神社は名城・熊本城を築いた戦国武将・加藤清正(かとうきよまさ)を祀る神社で、熊本城下町の守護神的存在であり、特に勝負運、出世・仕事運、厄除け・疫病退散のご利益があるといわれています。高橋稲荷神社は、稲荷神を祀り、日本五大稲荷の1社とされ、五穀豊穣や商売繁盛のご利益があるといわれて、特に商人や農家からの信仰があつい神社です。
別所琴平神社は、海上安全や暮らし全般のご利益があるといわれていますので、3社を巡拝することで、様々な分野のご利益をいただけるとされていて、熊本市内の神社巡り・御朱印巡りには欠かせない神社の1社になっています。
※加藤神社と高橋稲荷神社に関して、以下リンクの記事で紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。

 

【御朱印情報】熊本県「加藤神社」の加藤清正への尊敬の念を感じる御朱印

 

【御朱印情報】熊本県「高橋稲荷神社」の「日本稲荷五社」と記される御朱印

 

※全国の有名な稲荷に関して、以下リンクの記事で紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。

 

【御朱印情報】全国の有名な「稲荷」でいただける御朱印情報まとめ

 

 

金毘羅信仰の精神性と季節感を感じる御朱印

別所琴平神社では、多種多様な御朱印が授与されています。

 

基本の御朱印は、「奉拝」「別所琴平神社」「参拝日」の墨書きに、「肥後國熊本別所鎮座」「丸に金」「浄明正直(じょうめいしょうちく)」「別所琴平神社」の朱印と、可愛らしいキノコの絵のスタンプがおされるデザインで、持参した御朱印帳に直書きしていただき、初穂料は500円でした。

別所琴平神社_御朱印
季節に合わせた絵柄が添えられる「別所琴平神社」の基本の御朱印です。

 

「丸に金」は金毘羅信仰を象徴する紋で、全国各地にある金毘羅大権現を祀る金毘羅神社、琴平神社で社紋として使われています。
金刀比羅信仰は神仏習合の修験道とも結びついて発展してきた歴史があり、修験道は天狗信仰がゆかりが深いことでも知られています。修験道が盛んだった時代、金毘羅大権現の使いは天狗と考えられていました。やがて戦国時代の末には、金毘羅信仰の再興に尽力した金剛坊宥盛(こんごうぼうゆうせい)が、死の直前に「神体を守り抜く」と誓って天狗になった、という伝説も生まれました。
さらに江戸時代になると、白装束で天狗の面を背負って各地を巡り、参詣や勧進を通して金毘羅信仰を広める「金毘羅道者(こんぴらどうしゃ)」の活動も盛んになりました。
別所琴平神社の拝殿の左右には、150年ほど前から神社に伝わる天狗面が掲げられています。向かって左の緑色の天狗面は烏天狗(からすてんぐ)で、神の化身となって空を飛び、海で遭難した人を助けたという伝承があります。右の赤い天狗面にも、山で遭難した人を神の化身として救ったという言い伝えが残っています。

別所琴平神社_天狗面
間近で見た大きな天狗の面は、とても迫力がありました。

 

中央の朱印の「浄明正直」とは、けがれのない明るさと、正しく素直な心を大切にするという、神道の基本的な考え方を表す言葉です。

 

左上におされる絵柄は、雪だるまや梅の花、母の日にはカーネーションなど、参拝する季節や行事に合わせて変わります。基本の御朱印は伝統的でシンプルなデザインですが、参拝日によって異なる絵柄が添えられ、ささやかな季節の楽しみがあり、遊び心が感じられます。

 

この御朱印からは、金毘羅信仰や別所琴平神社の成り立ちや精神性とともに、参拝者をあたたかく迎えてくれる神社のおおらかな雰囲気が感じられるように思います。

 

 

多種多彩な手書きイラスト付き御朱印

別所琴平神社では、基本の御朱印以外にも、多種多様なイラスト付き御朱印が授与されていて、御朱印巡り好きの人に人気になっています。絵を担当する巫女長の高村さんと、書を担当する書道の先生方が協力して仕上げているそうです。

 

 

御朱印が話題になった当時の新聞記事によると、その始まりは令和元年(2019年)のことで、学生時代にデザインを学んでいた高村さんが、字の練習中に何気なく描いた天狗の絵が権禰宜さんらの目に止まり、御朱印に書いてみることになったそうです。翌年、令和2年(2020年)1月10日の「初こんぴらさま」の日に、その場で書いて参拝者にお渡ししたところ反響が広がり、季節感あふれる多彩なイラスト入り御朱印が授与されるようになりました。

 

 

高村さんが社務所にいらっしゃる日であれば、イラスト入り御朱印も通常15〜20分ほどの待ち時間で御朱印帳に書いていただけるとのことでした。高村さんが不在の日は、御朱印帳を神社に預けて後日受け取る方法のほか、御朱印帳を郵送して記入していただくこともできます。申し込み方法は、別所琴平神社の公式サイトの案内ページに掲載されています。誕生日や記念日のメッセージも書き入れていただけるそうなので、気になる人は社務所で相談してみてください。

 

 

 

 

参拝者の憩いの場「石庭」と人々が気軽に集える催し

別所琴平神社の境内、社務所のすぐ裏には、参拝者の憩いの場として枯山水の「石庭」が設けられています。御朱印を書いていただいている間に私も立ち寄ってみました。
入り口をくぐると外の喧騒が遠のき、市街地にいることを忘れそうな静けさが広がります。庭は広くはありませんが、手入れが行き届いていて落ち着いた雰囲気があり、短い時間でもほっと一息つくことができました。

別所琴平神社_石庭入口
石庭に隣接する和室の縁側に腰掛けて、枯山水の庭を眺めることができます。
別所琴平神社_石庭
美しく整えられた砂紋からは、参拝者を迎えるために日々丁寧に手入れされていることがうかがえました。

 

また、別所琴平神社では、「神社に足を運ぶ人が増えることで熊本の経済発展にも貢献したい」という思いから、さまざまな催しが行われています。石庭を眺めながらお茶を楽しめる「石庭カフェ」をはじめ、十日詣りにあわせてコンサートやワークショップなどが開催されるなど、人々が気軽に集える場となっています。参拝だけでなく、地域とつながる場として親しまれているのも、別所琴平神社の魅力です。

 

 

「別所のこんぴらさん」の名で知られてきた別所琴平神社は、毎月10日の十日詣りをはじめ、地域の人々に長く親しまれている神社です。拝殿に掲げられた天狗面などから、神仏習合の修験道と結びついて発展してきた金毘羅信仰の歴史を感じることができます。近年は、季節感あふれるイラスト入り御朱印をはじめとした多種多彩な御朱印が授与され、参拝の楽しみがいっそう広がっていますので、参拝の証・記念に、ぜひお気に入りの御朱印を見つけてみてください。

 

 

 

 

ライター:nakamuraya
旅好きな観光ガイド・WEBライター。書くことと話すこと、両方の言葉の力で、日本の魅力を国内外の人々に伝える活動をしています。初めての一人旅で京都を訪れて以来、神社仏閣に興味を持ち、御朱印の奥深さにも惹かれました。日本の歴史や文化に深く関心を抱き、伝統や美しさを巡る旅を楽しんでいます。

 

 

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