- 【御朱印帳】土佐手漉和紙「朝光」 小判 38ページ 楮紙 白米×淡黄蘗
- ¥11,880
福岡県添田町にある「英彦山神宮」は、皇室の祖先である天忍穂耳命を祀る、福岡県内で唯一の「神宮」です。「彦山」の朱印がおされる御朱印は、古代より多くの山伏たちが修行を積み上げてきた神の山「英彦山」の神仏習合の修験道の歴史を物語っています。
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目次
福岡県添田町にある「英彦山神宮(ひこさんじんぐう)」は、かつて山形県の出羽三山(でわさんざん)、奈良県の大峰山(おおみねさん)と並ぶ日本三大修験道として栄えた地にある神社です。英彦山(ひこさん)は古代より霊山として信仰され、天照大神(あまてらすおおみかみ)の子・天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)が降り立った地とされてきました。
平安時代以降、山岳信仰と仏教が結びついた神仏習合の「修験道」の修行場として発展します。最盛期には「三千八百坊」と呼ばれるほどの数多くの僧坊が立ち並び、多くの山伏たちが厳しい修行に励んだと伝わっています。山伏たちは武芸にも励み、一時期は領主に匹敵する力を持っていました。
しかし、戦国時代の天正9年(1581年)に焼き討ちを受け、多くの僧坊や僧兵たちを失ってしまいます。失った社殿や僧坊は江戸時代に復興しますが、明治時代の廃仏毀釈によって修験道は廃止され「英彦山神社(ひこさんじんじゃ)」となります。
その後、皇室の祖先である天忍穂耳命を祀っていることから、昭和50年(1975年)に天皇の勅許を受け、「英彦山神宮」へと改名しました。
現在の英彦山神宮は、修験道の名残がある聖地として崇敬され、また自然豊かな景観が愛され、特に秋の紅葉の名所として、多くの人に親しまれています。


英彦山神宮では、境内に入って右側の参集殿(さんしゅうでん)で御朱印が授与されています。
御朱印のデザインは、右側から「奉拝」「英彦山神宮」「日付」が墨書きされ、右上に「彦山」の朱印がおされるのが特徴で、持参した御朱印帳に直書きしていただき、初穂料は300円でした。

「彦山」の朱印には、英彦山神宮の長い歴史の変遷を物語っています。
もともと英彦山は、太陽神である天照大神の子が降り立った山という意味で「日子山(ひこさん)」と表記されていました。しかし、平安時代初期の弘仁10年(819年)に「日子を彦と改めよ」と書かれた鷹の羽が発見され、天皇の詔をもって「彦山」に改名します。その後、江戸時代中期の享保14年(1729年)に霊元法皇(れいげんほうおう)に「霊験あらたかな山」として、彦山の頭に「英」を付ける「英彦山」という名前をいただいたのです。
英彦山は、古くから山全体が神仏習合の霊山として崇められてきました。
御祭神の天忍穂耳命は英彦山の北岳に、配神の伊耶那岐命(いざなぎのみこと)は南岳、伊耶那美命(いざなみのみこと)は中岳にそれぞれ祀られています。かつて修験者たちが修行に励んだ険しい山肌や、樹齢1,200年を超えるとされる鬼杉など、境内には自然の驚異と神聖な空気が漂っています。
三神の御加護と修験道の歴史が息づくこの地でいただく御朱印は、手にするだけで背筋がぴんと伸びるような不思議な力を感じさせてくれます。

英彦山は山全体が御神域ですが、一般の参拝者が訪れるのは、おもに山の中腹にある「奉幣殿」と、さらに階段を登った先にある「下津宮(しもつぐう)」です。
戦乱で一度消失した奉幣殿は、初代小倉藩藩主・細川忠興(ほそかわただおき)が江戸時代初期の元和2年(1616年)に再建します。かつて奉幣殿は、修験者たちが集う大講堂としての役割を果たしていました。廃仏毀釈によって奉幣殿と名を改めましたが、そのたたずまいは国指定重要文化財として荘厳さを今もなお残しています。

また、手水舎横にある梵鐘(ぼんしょう)も見どころのひとつです。南北朝時代(1300年代)に製造されたもので、文禄3年(1594年)に豊前藩主によって英彦山に寄進されました。廃仏毀釈運動によって多くのものが失われましたが、今もなお「神社の梵鐘」として除夜の鐘を響かせています。

奉幣殿からさらに鳥居をくぐり階段を登ると、摂社の下津宮に到着します。下津宮内部には「十二所権現(じゅうにしょごんげん)」と掲げられており、中には不動明王と不動童子像が祀られていました。英彦山にそびえる鬼杉の落枝から作られた仏像彫刻は、かつて「英彦山権現」と呼ばれた神仏習合の歴史を静かに伝えています。

英彦山周辺は、福岡県内有数の紅葉の名所としても知られています。
英彦山神宮にたどり着くには約400段もの階段を登る必要がありますが、英彦山スロープカーに乗車すれば片道約7分で坂道を苦労なく登りきることができ、しかも車内から英彦山の豊かな自然景観を堪能することができます。

スロープカーの座席には畳が使われており、和の雰囲気に包まれながら、秋には紅葉の景色を楽しむことができるのが特徴です。スロープカーの真下には英彦山花園もあるため、私が参拝した令和7年(2025年)11月上旬には、紅葉だけでなく季節の花々もあわせて眺めることができました。
長い歴史と現代の景観が交差する英彦山ならではの贅沢な時間といえるでしょう。

英彦山神宮は、かつて日本三大修験道として栄えた由緒ある古社です。霊峰ならではの自然豊かな荘厳な雰囲気の境内に、見るものを圧倒する迫力の奉幣殿や、神仏習合の歴史を今に伝える下津宮など多くの見どころがあります。スロープカーからの山深くの絶景を眺めながら、歴史の深さを物語る「彦山」の朱印がおされる御朱印をいただいてみてはいかがでしょうか。
※全国の神宮に関して、以下リンクの記事で紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。
【御朱印情報】全国の有名な「神宮」でいただける御朱印情報まとめ
ライター:綾木ゆうき
福岡出身、山口県北部在住のWebライター。幼少期に6年間習字を習っていたことから、筆跡の美しさに魅了され御朱印収集をはじめました。現在は九州・中国地方を中心に、趣味の国内旅行を兼ねて全国各地の御朱印を集めています。
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