【御朱印情報】大阪府「大鳥大社」の日本武尊伝説を象徴する「鳳凰」の金印が輝く和泉國一之宮の御朱印

大阪府堺市西区にある「大鳥大社」は、日本武尊の魂が白鳥となって舞い降りた伝説の地にある神社で、和泉國一之宮として古来より信仰をあつめています。金色の「鳳凰」が輝く基本の御朱印のほか、月替わりや祭事にあわせた多種多彩な限定アート御朱印が授与されています。

 

 

日本武尊伝説の地に鎮座する和泉國一之宮「大鳥大社」

大阪府堺市西区にある「大鳥大社(おおとりたいしゃ)」は、日本神話に登場する日本武尊(やまとたけるのみこと)と、この地の豪族であった大鳥連祖神(おおとりのむらじおやがみ)を祀る古社で、和泉國(いずみのくに、現在の大阪府南西部)の一之宮として古来より崇敬をあつめてきました。

 

社伝によれば、日本神話で西国平定の帰路で伊勢国(いせのくに、現在の三重県および愛知県・岐阜県の一部)で没した日本武尊の魂が白鳥となって飛来し、現在の大鳥大社がある場所に留まったことが創建の由来と伝わっています。広大な境内は「千種の森(ちぐさのもり)」と呼ばれ、かつて一夜にして樹木が生い茂ったという伝説が残るほど、生命力に満ちあふれた聖域とされています。

 

大鳥大社は、平安時代に記された官社の一覧「延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)」に名神大社として記載されていて、特に防災雨祈の祈願社として、当時から全国にその名が知れ渡っています。日照りや雨が続いた時に天候の安定を願ったり、地震、疫病といった災害などが起きた時に収まるように願ったりする神社として、信仰をあつめていました。
古来、農作物のできが国の税収を直接的に左右し政治の根幹に関わる重要な関心事でした。そのため、日照りが続くと雨乞いを、雨が続くと止雨の祈祷をした歴史があります。さらに大きな災いや不吉な事が続いた時も、神社に祈祷をしてもらう習慣があり、大鳥大社も地域で重要な祈願所であった歴史がうかがえます。

 

 

「鳳凰」の金印が輝く御朱印

大鳥大社では、社殿脇に社務所で複数種類の御朱印が授与されています。

 

基本の御朱印は、右側に金色の「鳳凰(ほうおう)」の社紋と「和泉國一之宮」の墨書き、中央には「大鳥大社」の墨書きと朱印、左側は「参拝日」が墨書きされるデザインで、持参した御朱印帳に直書きしていただき、初穂料は500円でした。

 

この御朱印で一際目を引くのは右上に輝く金色の印で、これは大鳥大社の社紋である「鳳凰」を象ったものです。この紋は、御祭神である日本武尊が白鳥となって舞い降りた伝説を象徴しています。大鳥大社がある地域の地名は「鳳(おおとり)」で、社名の「大鳥」の由来にもなっています。

 

御朱印に社紋印がおされる場合は朱色が一般的ですが、大鳥大社では象徴的な鳳凰の紋に「金色」を採用しています。
この金色の印は、単なる装飾ではなく、古来より金は不変の輝きを持つことから「永遠」や「神聖さ」を意味し、現代では「金運」や「勝負運」の上昇を願う参拝者からもあつい支持を得ています。

 

白鳥が鳳凰へと昇華したかのようなその意匠は、苦難を乗り越えて飛躍する力を授けてくれるかのようです。

 

また、御朱印の右側に墨書きされている「和泉國一之宮」の文字は、大鳥神社がこの地域で最も社格が高い神社であることを示しています。延喜式神名帳において、最高位の「名神大社」として記されており、平安時代から国家的な祈祷が行われてきた記録が残っています。
御祭神の大鳥連祖神は、この地を治めた大鳥連(おおとりのむらじ)の祖神であり、日本武尊の伝説と地域の歴史が融合した独特の信仰が、御朱印の墨書きの一筆一筆に込められているように感じます。

 

この御朱印は、私が御朱印巡りで使っている特別な御朱印帳「千年帳」に書いていただきました。千年帳の本紙は、楮(こうぞ)という伝統的な和紙原料を使って職人さんが一枚一枚手漉きした「土佐手漉和紙」です。
土佐手漉和紙の特に楮紙に書かかれる墨書きは、毛筆の書き心地が一般的な御朱印帳の本紙とかなり異なります。実際に今回の御朱印を書いていただいた巫女さんに話しをうかがうと、他の一般的な御朱印帳と比較して、墨の染み込みが良く書き心地がかなり良かったという声をいただきました。書き手が気持ち良く筆を運んでくれたことで、墨書きの美しさが際立ったように見え、御朱印の価値をさらに高めてくれたと思います。
※千年帳の本紙に関しては、以下リンクで詳しく紹介されていますので、ご参照ください。

 

千年帳とは：本紙

 

 

月替わりや祭事にあわせて授与される限定アート御朱印

大鳥大社では、基本の御朱印の他にも摂社の御朱印や季節や行事に合わせた限定御朱印も授与されています。

 

摂社の御朱印は、大鳥美波比神社(おおとりみはひじんじゃ)の御朱印が授与されています。
右側は「奉拝」の墨書き、中央には「美波比神社」の墨書きと社殿・雲・梅の朱印、左側は「参拝日」の墨書きが入るデザインです。

 

私が参拝した令和7年(2025年)12月初旬には酉の日参りの限定御朱印も授与されていました。
大鳥大社の社殿や鳥居に縁起物の小槌や小判などが多数描かれた豪華なデザインの御朱印でした。

 

大鳥大社では、11月の酉の日に参拝し、御祭神・日本武尊の御神徳にあやかり、商売繁盛や開運招福、勝運を祈願するという習慣があります。酉の日参りは、日本神話で日本武尊が東征した際に、熊手で火を防ぎ、賊を平らげた故事に由来し、熊手は厄を払い福をかき込む縁起物とされています。
※酉の日参り・酉の市が有名な東京都浅草・鷲神社に関して、以下リンクの記事でご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。

 

【御朱印情報】東京都浅草「鷲神社」の酉の市と限定の御朱印

 

大鳥大社では、この他にも月替わりや祭事などにあわせて華やかな限定のアート御朱印が授与されています。参拝の際には、どのような御朱印が授与されているかぜひチェックしてみてください。

 

 

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財運アップ・商売繁盛の「根上がりの大楠」

大鳥大社の境内で、注目していただきたいのが「根上がりの大楠」です。樹齢を重ねた巨大な楠の根が、地表に大きく盛り上がっている様子からその名がつきました。
この「根が上がる」という状態が、「値(価格・価値)が上がる」「運気が上がる」という言葉に重なり、現在では財運アップや商売繁盛の聖地として認知されています。ぜひこの楠の前に立ち、その生命力にあやかってみてください。

 

 

和泉国一之宮と古くから信仰されている大鳥大社は、日本武尊の白鳥伝説を今に伝える歴史深い聖域です。金色の鳳凰が輝く御朱印は、一之宮の格式と開運への願いが込められた、唯一無二の存在感を放っています。境内に息づく「根上がりの大楠」の力強いエネルギーを感じながら、黄金の印を冠した御朱印をいただく時間は、日常の喧騒を忘れ、運気を切り拓くきっかけを与えてくれるでしょう。大阪を訪れた際は、ぜひこの由緒正しき古社へ足を運び、御朱印の金色の鳳凰の輝きを確かめてみてください。

 

※全国の大社に関して、以下リンクの記事でまとめて紹介されていますので、こちらもぜひご覧ください。

 

【御朱印情報】全国の有名な「大社」でいただける御朱印情報まとめ

 

 

 

 

ライター：洋介0522
旅行添乗員の経験があるWebライター兼ディレクター。20代の時に仕事で四国八十八ヶ所のツアーに3回添乗したことで御朱印に興味をもちました。現在はワーケーションしながら全国各地の神社を巡り、御朱印をいただくのを趣味の一つにしています。御朱印帳は現在6冊目で、お気に入りの御朱印帳は京都・建仁寺のものです。